揚力の見積もり
揚力を計算する式は、以下のように与えられる。
L=1/2 ρV^2 S CL
ρは空気密度なので、高度ゼロではおよそ1.3、CLは揚力係数であり0.1~1.4程度になる。凧はテザーによって地上と係留されるから、実際には揚力だけでなく抗力も上昇に寄与する。とはいえ、仰角45度を上回って上昇させることを目論む凧においては揚力だけをとりあえず考えよう。
ρは空気密度なので、高度ゼロではおよそ1.3、CLは揚力係数であり0.1~1.4程度になる。凧はテザーによって地上と係留されるから、実際には揚力だけでなく抗力も上昇に寄与する。とはいえ、仰角45度を上回って上昇させることを目論む凧においては揚力だけをとりあえず考えよう。
ρ=1.3, V=1, CL=1,S=1とすると、L=0.65[N]=66gfとなる。
1m/secで重力を上回る揚力を生み出そうとすると、1平方メートルあたり66gより軽いくらいに作る必要があるということだ。風速が2m/secだとすると、揚力は4倍になるから、252gくらいが閾値ということになる。
現実には揚力係数は迎角を浅くすれば1を下回ることも多いし、そもそもつり合いの位置ではテザーの仰角が0になってしまうので、せめて抗力の二倍くらい余計に揚力をかせがないと凧らしくはあがらない。そんなわけで、上の式で概算は数割厳しめに評価すべきだということになる。
風のイメージ
気象庁の用語では、次のように風力が定められている。日本の内陸部であれば、強風というのはめったにないことで、烈風というのはもはや災害級の台風到来の状況だ。
普通は、凧は和風くらいで揚がることが望まれ(翼面荷重200g/m^2)、軟風くらいで揚がると大分扱いやすい(翼面荷重100g/m^2)。
凧の重さのイメージ
普通は、凧は和風くらいで揚がることが望まれ(翼面荷重200g/m^2)、軟風くらいで揚がると大分扱いやすい(翼面荷重100g/m^2)。
名称 | 風力 | 秒速(m/s) | 状態 |
---|---|---|---|
無風 | 0 | 0.0-1.4 | 煙が真直に上る |
軟風 | 1 | 1.5-3.4 | 風のあることを感じる |
和風 | 2 | 3.5-5.9 | 樹木の葉を動かす |
疾風 | 3 | 6.0-9.9 | 樹木の小枝を動かす |
強風 | 4 | 10.0-14.9 | 樹木の大枝を動かす |
烈風 | 5 | 15.0-28.9 | 樹木の幹を動かす |
颶風 | 6 | 29.0以上 | 樹木や家を倒す |
凧の重さのイメージ
凧を竹と障子紙で作り、伝統的な形状(無駄のそれほどない実績のある形状)であれば、およそ200g/m^2程度には仕上がる。ボックスカイトなどを作っても350g程度には仕上がるのではないだろうか。およそ骨材と膜材の質量比が1:1程度になるだろう。
骨材をCFRPなどにすれば、骨材の重さは半分以下となり、膜材をリップストップナイロンなどにかえれば、膜材も半分程度となる。さらに頑張って数割軽くできるだろう。
感覚的には、竹と障子紙で、軟風で浮かすのはそれなりに剛性の低い凧になってしまうが、現代的な材料を使ってよいなら、余裕で軽い凧を作ることができる。
翼面荷重の考え方
もっとも、数十メートルもあげれば、風速は地上よりずっと速くなることが普通である。したがってそこまで持ち上げることができれば、翼面荷重はそれほど重要ではなくなる。重力よりも張力のほうが支配的になるからだ。そんなわけで、カイトフォトなどをする人たちは、弱風凧と強風用凧を使い分けたりする。概して、弱風用の凧は、平面的なデザインとなり、強風に対しては変形しがちであるため、不安定になる傾向にある。強風用の凧はボックス要素のある凧を用い、剛なデザインを採用するのである。
スポーツカイトのように地上近傍で使う凧では、そもそも地上での、操縦性を向上することを考えて「軽ければ軽いほど良い」ということになるだろう。